過去セレスは…、いや、「Prince Of Darkness」は、五感を失っていた。
それでも、外部情報を得ようと、復讐を続けようと、「Prince Of Darkness」は五感の代わりになるものを探した。
その過程で手に入れた物の中でも、特に卓抜していたのは『気配』を読み取る、という技能だった。
第六感…なのか、狭い周囲の中で人がどこにいるか、どの様な感情を抱いているかが漠然とでもわかってしまう。
セレスの五感が回復したことは、今までウェイトをかけてきたセンサーの負荷を取り去ったようなものだ。
「Prince Of Darkness」の時、薄々と感じ取れた北辰の気配。
それは北辰の異様な気配が強力すぎたためであるが、
ワラにも縋る様に「Prince Of Darkness」の感覚は研ぎ澄まされた。
そして、その感覚は今セレスの中で警鐘のように鳴り響いていた。