久々に聞いたユリカの声に、セレスは少々困惑したが、すぐにいつもの様子に戻った。
あんなに求めていたユリカが、目の前に居る。
ユリカはセレスという存在を知らず、その無意識のうちに出来ていた距離は遠かった。
物理的な距離は数メートルであっても、心の距離は数光年もある。
今、セレスは『アキト』でも、『The Prince Of Darkness』でもない、だから遠いのだ。
一心に愛していても、純情に守ろうとしても。
現状ではセレスは『セレス・タイト』でしかない、そう気付かされて。
出航前から顔合わせを行っていた人員ならともかく、飛び入り状態のセレスには皆抵抗があった。
纏っている服やバイザーが恐怖を与えたのだろうか、それとも、『The Prince Of Darkness』だった頃の残り香でもあるのだろうか。
近寄りがたい雰囲気と、独特の『闇』というのが相応しい恐怖。
まるで変わっていないのだ。
姿形は変わろうとも。