機動戦艦ナデシコ
princess of darkness





ACT−#01 「始まる未来」









『アキト…これからも…ずっと…ずっと一緒だよ…』





俺の脳裏にあの声が響く。

そう、リンクシステムが暴走した時、ラピスが俺に言った最後の言葉…。







ゆっくりと…瞼を持ちあげる。

その眼に映るのは…満天の星空。



「天国にしちゃあ…この上ない条件だな…」



そう言った後、ふと我に返った。

…何故俺はこんなところにいる?

夢だと思い、試しに頬を引っ張っても叩いても、じんじんとした痛みが残るだけだ。

つまり…これは現実で………。

……現実で。俺は無くしたはずの痛みを感じている。

ラピスのサポート無しに…感じ得なかった痛みを。

だが、ラピスの存在は感じられない。

それでも、ラピスを捜して首を巡らせようとしたその時、自分が倒れている事に初めて気付いた。


周りを見渡すと……草が生えている。

どうやら川原のようだが…どう考えてもおかしい。

ここ数年、こう言った自然物とは無縁の生活をしていたのだから。


不意に、その草が揺らめく…。それはあくまで自然な存在…。

次の瞬間、少し冷たい風が、俺の体を撫で……はるか後方へと駆け抜けていった。

心地よいが、俺の疑問は解決されることは無い。


星空を見上げてみる。暗く…何かに遮られたような星空。

もどかしさを感じ、バイザーを上げてみた。

見えることは無いと知っている。だがその衝動を抑えることはできなかった。



「…北斗七星か…」



北天に輝く柄杓星。何百年も変わらず、自分の宿敵の名を冠する星を巡り続ける星座。

……そう、視覚補助のバイザーがないほうが…はっきりとその形を見せているのだ。



「…馬鹿な……」



この驚き…。常人には理解不能だろう。

ラピスとのリンク。そして視覚補助用のバイザー。

これを外して世界を見たのは……もう何年も前のことなのだ。

正直な話…これが現実だとは思えない。…そう、夢か何かのように思える。





……………だが、俺は覚えている。あの時の焼けるような熱さを…。





……ここでこうしていても始まらない。

何をおいても、情報を集めなければならないだろう。

そう思い、立ち上がろうとして…違和感を感じた。

確かに自分に身体なのだが………体が…軽いような…。


その感覚に対応できないまま、バランスを崩し、転倒してしまった。


思いのほか勢いがつきすぎたため、体は押し留める事が出来ず…目の前の斜面を転げ落ちていく。


あまりにも……あまりにも無様で…格好も付かない。



バシャン。



自分の身体の動きについていく事が出来ないまま、目の前に流れていた川に…頭から転げ落ちてしまった。



「……ぐほっ! …かはぁ…!」



少量の水が口の中に入ってしまう。

慌てて水の中に立ち上がった時、自分の鼻腔を土のむせ返る様な匂いが支配した。

その感覚に、しばし呆然としてしまう。

視覚、触覚。……それに引き続き…嗅覚。

慌てて舐めた川の水は…土の苦さを与えてくれた。


味覚。


いや……川のせせらぎも…その川に落ちた時の水音も……自分の声も聞こえた。


…聴覚。


失ったはずの五感。その五感が…今の自分を取り巻いている。


その感覚と感触に愕然としながら、視線を水面に落とした。

ポタリ…ポタリと、髪から落ちていく雫が…その水面に波紋を作っていく。

その時、柔らかな光が…音も無く地上に降り注いだ。

雲に隠れていた月が…夜の闇を照らしていく。

その光は…柔らかな質感をもって、自分自身を照らしていった。

…そう。今まで闇に隠されていた…自分の顔と肢体も。



「…………………ラピス!? いや…違う?」



月に照らされ、鏡と化した水面にはラピスと少し似た顔が映っていた。

金色の瞳、流れるような桃色の長髪。


だが、何かが決定的に違っている。


自分の脳裏に、あまり納得も…考えたくもない事がよぎった。


それを打ち消すかのように、手を…ゆっくりと水面に近づけていく。

その手は、驚くほど簡単に水面から水中へと飲み込まれていった。

その手応えの無さ…。それに愕然としながら手を引き抜いていく。

…その行為によって、水面が揺らぎ…波紋が広がり…その波紋により顔が揺らいで…消えた。

水中から引き上げた手は震えている。

…だが、その手をゆっくりと顔に押し当ててみた。

柔らかく、繊細な肌の感触。

暫く呆然としたまま…その感触を確かめていると…水面は静けさを取り戻した。

その水面には…自分と同じように、顔に手を押し当てた姿が映っている。



「………」



何かに逆らうように…何かを否定するように、表情を作ってみた。

水面の顔もまた…表情を歪ませていく。…そう。無表情な笑顔へと。


信じられない。

まさか、アカツキの言っていた『どちらかの人格の消滅、肉体の融合』?


常識的に考えて、ありえる訳が無い。


そんな事を思いながら、マントの中を探ろうとした。

何か…役に立つ道具は無いかと…思っての事なのだが…。




むにゅ。




「…?」



本来、硬く鍛えた筋肉があるはずのところには、在ってはならない物が付いていた。

そう…胸だ。

……いや、胸は誰にでも在る。

問題は、その胸が女性のバストだという事だ。



「これは……胸…だ…よな?」



むにゅ



再度触ってみる。


…柔らかい…。


ちょっとだけ、頬が赤くなるのが分かった。









「………ちょっと待て…」



イヤな予感に襲われて、自分の股間を触ってみた。


…。

…。

…。

……ない。



絶対に認めたくない。その思いが、自分の腕を動かした。

一度、二度。自分の頬を叩いてみる。

少し痛い。


認めざるを得ない。…ここまできたならば。


…本当に、これが現実なのだ。


急に、頭の中は真っ白になっていく。

『昔のアナクロなゲームならここで終わりだな』

なんて思ったが、現実ではそうも都合よく行かないようだ。



「とにかく、今は時間を知るしかないか…」



少し高い声が、違和感を誘う。

……女性ならば、それも仕方ないのかもしれない。

とにかく、気を取り直し、外していたバイザーを拾い上げた。

バイザーをかけると、街の明かりが際立って見える。

ここでこうしていても仕方ないので、その方向を目指すしかない。

そう思い、灯りへと足を進める。




さっき濡れた髪は、もう乾いていた。









サセボ




さっきから道行く人達が自分を見るなり、笑ったり、指を指したりしている。

正直言って不快だ。だが、ここで下手に警察沙汰にするわけには行かない…。



「我慢…我慢だ…」



しかし、こんなに笑われたりすると『自分の服がそんなにいけないのか?』と言った不安にかられるのは…人間の心理であろうか…?

そんな思いを抱いたまま歩いていると、人通りの無いアーケードに出た。



「………」



周りを見渡すと、電光掲示板が目に入った。

その瞬間、自分の声が意に反して口を割る。 



「…2196年だと!?」



愕然とした…。

そう……過去に来てしまったのだ!



「……過去にジャンプするとは…」



だが、愕然としていた自分の脳裏に、何かが閃いた。



「過去……」



そう。ここは過去なのだ。

その考えが徐々に気を落ち着かせていく。


……やりなおせる。


そう思ったから…。



…しばらく歩いていると、後ろから、カチャカチャと一定のペースで耳障りな音が聞こえてきた。

…ある種の予感に背を押され、後ろを振り返る。



「……っ!?」



オレンジ色のシャツ、背中に背負った調理道具、赤いMTB……。

見間違えようもない。…この時を忘れたこともない。

…そう。昔の自分…。


妙な気分に囚われてしまう。

なにか嬉しいような…。


その思いが、自分の足を動かした。

小走りに、昔の自分へと近づいていく。

あちらも気づいたようで、こちらの方をじっと凝視し始めた。


残り5メートル。


少し心臓の鼓動が早くなった気がした。

過去に自分と会話できるヤツがこの世にいただろうか?


残り1メートル。



「ねぇ、キ…」





ぶぉおおおおおおお!!!!!!!






そう言いかけると、自分の後ろを猛スピードで車が通り越した。

ほんの僅かな差だ。…少し間違えば、サイドミラーに引っかかるか、もしくは轢かれてしまっていたかもしれない。

だが、そんな事に気をかけずに、昔の自分に話し掛けようとした。

…その時、通り越した車から、何をそんなに入れているのかは知らないが、妙に膨れた旅行用鞄が、突進してきた。



それはさながら、ブラックサレナに突進する巨大バッタのようだ。



「え? …わああああ!」



過去の俺が少々大きい声を発した。

怯えている? 

そんな情けない考えが、自分の頭に浮かぶ。

だがそんな事を考えている間にも、鞄と俺の距離は詰まっている。

…このままだと、ぶつかる…。

そう判断すると、少し腰を落した。



「……行けるか!?」



車のスピード、質量、体積の計算上では、受け止めるのは至難の技だ。

だから、多少荒っぽくなるが、無理やりにでも軌道を変える!


だが、自分のそんな計算をあざ笑うかのように、旅行鞄は中に入っている下着、人形、生活用品をぶちまけた!!

予想以上に…強敵だ!



「なんだと!?」



その瞬間…なにかデジャビュに似た感じを受けた。


そう…これはまるで……至近距離でミサイルを発射する巨大バッタ!

そうだ! それだ! ならば、対処法も存在する!

あの時は…ミサイルを避けながら本体を潰したのだ。

今回も、その方法で対処可能なはずである。



「………!!」







…決まった…。







そう! 拡散バズーカの戦法に勝ったのだ!




大元の鞄を両手で押し、跳ね除けた…。

しかし、それは与えられた衝撃の為に軌道を変え…運悪く昔の自分に直撃してしまった。

昔の自分では、その衝撃に耐えられるわけも無く…フィールドなしのエステバリスにミサイルを当てたように倒れ伏す。



「……しまった……」



すぐさま昔の自分の駆け寄った。



「死んで…無いよな…?」



胸に耳を当ててみる。

…どうやら、心音はあるようだ。



「呼吸は…?」



今度は自分の顔を、昔の自分の顔に近づけてみる。

…基本的な治療法は心得ているつもりだ。



「…ぅ…う〜ん……うわぁぁぁぁぁ!!!」



はっきり言って騒がしい。

至近距離で大声を上げられたせいで耳が痛くなった。




キキィーーー!!




その時、駆け抜けていった車が音を立てて止まった。

気づくのが遅い。それに、制限速度を完全にオーバーしている。

そんな事を考えていると、車がバックで3メートル位近くに来た。


ガチャ。


助手席のドアが開き、女性が降りてくる。

そう。…この状況で降りてくる女性は一人しかいない。





ミスマル…ユリカ。






「す、すす、すいません!!」



そう言ってユリカは頭を下げた。その顔には冷や汗が浮かんでいるが……。



「その人…死んで無いですよね?」



……失礼極まりない。第一、こんな所で死なれても困る。



「心音も呼吸もある…ん? 脈拍が異常だが…?」



抱え込んだ腕が、自分の胸に当たっている。

そこから、妙に早くなっている脈が伝わってきた。



「…た、た、た、頼むから…どけてくれぇ〜!」



なんとも情けない声を出しながら、昔の自分の顔は、もう赤く染まっている。



「あ、ああ、すまない…」



一言、形だけ謝ると、少しだけ距離をとった。



「はぁ、はぁ、はぁ…」



目の前の自分は呼吸を整えるのに必死だ。

必ず死ぬと書いて必死だ。


…何か悪いことしただろうか?


とりあえず、そんな事を考えながら、後ろを見る。

どうやらユリカとジュンが荷物を詰めているようだ。



「あ、あのぉ〜」



その時、昔の自分の顔を凝視していたユリカが、バツが悪そうに尋ねてきた。



「不躾な質問で申し訳無いんですがぁ〜」



妙にギクシャクした喋り方で語尾を延ばす。

その言葉に、昔の自分が、間抜けな顔をして自分の顔を指差す。



「へ? 俺?」



「私達、前に何処かでお会いしたことがありませんか?」



腰を曲げ、ユリカが昔の自分に向かって眼を向ける。




その時真実を言いたい気持ちに駆られたが、決して口には出さなかった。




「…し、しらないよ、会った事なんて無いんじゃないか!?」



「ふ〜ん、そうですか〜」



ユリカがそれでも昔の自分を凝視する。



「ユリカぁ〜早く行かないと…遅刻しちゃうよぉ〜」



その時、ジュンが自分の腕時計を眺めながら妙に間延びした声をかけてきた。



「あ、うん! じゃあ、私達はこれで、ご協力感謝します!」



うん、見事な敬礼だ。


車のエンジン音が遠ざかって行く。

その時、視界に何か光るものが映った。…どうやら、写真入れのようだ。

…そう。あの時の…。

それを手にとると、今度は昔の自分に手渡した。



「これ、落ちていたんだ…届けてやってくれないか?」



わざと写真が見えるように渡す。



「え…? ……!!!!!!」



思い出したようだ…。

ならば、もうここに居る必要はない。



「俺は…俺はおまえと会ってる! ユリカ!?
 チューリップ組のミスマル・ユリカか!?」



また逢えるか?



「それでは、自分はこれで…」



いや、逢わなければいけない、ナデシコに乗るのだから…。



「ま、待ってください!」



踵を返し、その場を離れようとした自分に、昔の自分が声をかけてきた。

…もう用はないはずなのだが。



「なんだ?」



「さっきは、どうもありがとうございましたぁ!!」



昔の自分はそう言って深々と頭を下げる。

…こんなに熱かっただろうか?



「………どういたしまして」


そう言った後、マントを翻し昔の自分に背を向けた。



後ろから昔の自分の絶叫と、カチャカチャという音がまた聞こえたが、もう振り返ることは無かった。















さて………これからどうするか?

とりあえず。現状の改善策として、ネルガルに向かうことにした。

なんと言っても世界のネルガルである。

個人的に明確な肉体的な情報や血液型なども教えてもらいたいという事も在った。

行って損は無いだろう。


そう思い、街の中央に聳えるネルがルの会社に向かうことにした。


ボソンジャンプが出来れば簡単に行けるんだが、土地が無いのでジャンプなんてすれば何処に行くか分からない。

仕方なく、自分の足で歩いていくことにした。




……しばらくすると、遠くに見えていたビルがはっきりと判別できるようになってきた。

道が入り組んでいるため、下手に動けないと思ったが、人に聞くにもこんな時間帯である。

道を行くのはよっぱらいのおっさんくらいだし、当然、道に迷うことは承知だったのだが…。



「ここは…どこだ?」



迷った果てに、見たことも無い道を抜けて、海岸線に出てしまったのだ。

内心、『しまった!』なんて思ったりしたが、周囲を見まわすと……。


NERGAL SASEBO LABO


と、おっきい看板を下げた研究施設があった。

天の助けとはこのこと…。

さっそく資材の搬入をしている社員に色々尋ねる事にした。



「済まない、少し良いか…?」



いくらなんでも、基本的な礼儀作法くらい心得てるつもりだ。

だが…。



「…はぃ……?
 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



人の服装を見るなり逃げ出すなんて…。

こんな服装じゃ、まともに会話…いや、変質者扱いを受けてしまう。



…着替えたほうが良いかもしれない…。


そんなことも思いつつ、逃げていったヤツが今まで居た所を見てみた。


…ベルトコンベアーがある。
資材搬入用なのだろう。

……少し躊躇ったが、ベルトコンベアーに飛び乗った。









ネルガル

サセボ、ラボ



なにかの轟音と、カンカンと鉄を打つ音が聞こえる。

すこし油くさい…。

油や埃にまみれたつなぎを来ている人達が、さっきからせわしなく右往左往している。



「よし、各部の潤滑油の調整を怠るなよ!
 こいつはデリケートなんだからな!」



メガホンを持った男が偉そうに怒鳴り散らしているのが見える。

ベルトコンベアーから飛び降り、とりあえず、物陰に隠れることにした。

周囲を観察する必要が在るからだ。

倉庫の一部を改良したようだが…設備がちゃんと整えられていない。



「でも、これ…使えるんですか?」



「これ、パイロットに優しくないって聞きましたよ?」



…どうやら少し考え違いをしていたらしい。

ここは、研究所ではなく格納庫だった。

視線の先にはエステバリスタイプの機動兵器がある。

だが、今まで見てきたエステ…いや、この時代に在るはずのエステと何かが違う。

あまりに見入ってしまったが故に、なにかの突起を触ってしまった。



ガキン!



「…っ!?」



気づいた時既に遅し、触ってしまったのはなにかのエンジン……しかも始動スイッチのようだ。

命を吹き込まれた機械は、轟音を上げ振動し始めた!

その音が原因で、格納庫に居た人間の目が、自分が隠れている場所に集中するのが分かる。



「だれだ!?」



迂闊だった…そう言わざるを得ないだろう。



「……見つかったか」



ここの連中が銃を持っていないのが幸いだった。

バランスの取れない体をなんとか走らせ、機械を飛び越え、一回転して着地した。



……囲まれている!?



そう思った瞬間…。





ドガァーーーン!





巨大な爆音と振動に思わず立ち止まってしまった。

………トカゲか!? …と言うよりも、それ以外に考えられない!

そんな事を考えていると、右手を掴まれたような感触があった。



「……っ!?(しまった!油断したか!?)」



掴まれた手を勢い良く引く、すると、レザーグローブが取れてしまった。



「「「「「…っ!?」」」」」



右手の束縛から逃れることは出来たが、四方を囲まれ、脱出は叶わなかった。



「そ、そのIFS…」



その視線を伝うように、レザーグローブの取れた右手を見た。
右手には今まで見たことのないようなIFSが存在している…。



「あっアンタ…パイロットか!?」



話しが唐突過ぎる。状況がさっぱり読めない。
…このIFSがどうかしたのだろうか?



「よせ! こんなのに乗せたら命が幾つあってもたりねぇ!」



別の1人が叫ぶが…何を言っている?

あまりにも状況が混迷しすぎていて、さっぱり分からない。



「トカゲはもうそこまで来てるんだぞ!!」



という事は、そろそろナデシコも危険だということだ。



「…でも、こんな華奢な女にあんなジャジャ馬・・・乗りこなせるはずがねぇよ!!」



ジャジャ馬? あのエステバリスタイプのことだろうか?



「今出なけりゃ何時出るってんだ!?」



大体話が読めてきた…!







「要するに、あれで煩い蝿共を落してこればいいのか…?」



格納庫に居た連中が驚いた顔でこちらを見る。



「「「「「…?」」」」」



「あれで…」



確認するようにそう言った後、ライトグレーの色をした少し大きいエステを顎で指した。



「やって、くれるのか?」



まぁ、これでナデシコに乗れれば結果オーライと言った所だろう。



「よ〜っし! てめぇらぁ! フルセットにしろ! 一分でだ!!」



リーダー格のヤツが威勢良く指示を飛ばす。

なかなか。手際や他の連中からの信頼度からみても、かなりの人物だろう。



「「「「はいっ!」」」」



なんか、ナデシコのノリだ…。こんな怪しい自分をパイロットにするなんてな…。




良いだろう、こちらも全力で相手してやる。トカゲども!!




「なぁ、アンタ…」



意気込む自分の耳に声が入る。

さっきのリーダー格の男が近づいてきた。

年の割に、体はしっかりしているようだ。



「部外者に話すのもなんだが…このエステは欠陥品でな。
 今使われてるエステのプロトタイプなんだ…。
 性能は良いんだが…その分パイロットに負担がかかってな。
 しかも、IFSのシンクロ率が上がりにくいんだ。
 もし、これをアンタが使いこなせるのなら……。
 今、ドックで建造中のネルガル企業の新型戦艦、ナデシコとやらに届けてくれないか?」



なるほど、だから見たことが無いわけだ…。

つまり。前の歴史では届けられる前に、ここで潰されてしまったという事か。



「…わかった。」



「俺の名前は、テツ…アンタの名前は?」



勢いよく返事をし、エステに乗り込もうとした時、リーダー格の男が声をかけてきた。

…名前を聞かれたのだが…、ここまで全く考えていなかったのだ。

そう。……もう、テンカワ・アキトではないのだ。





…よし。





「私の名は……………セレス。
 …………セレス・タイトだ。」



結局、思いついた名前を言ってみた。





「へぇ、良い名前だな」



心なしか、テツの顔が赤かったが、気のせいか…。



「セット完了!!
 何時でも発進どうぞ!!」



「ああ、今行く!」



俺…いや、私はテツをちらりと見た。

すると、私に向かって親指を「ぐっ!」と出す。

私も同じく親指を「ぐっ!」と出した。

すると、テツの顔が笑顔に変わる。



「早くしてください!」



エステの傍の男の声が、騒がしい倉庫に消えていく。

『私』は、コックピットに続く鉄製の階段を駆け登り、シートに座った。



「では、お気をつけて…」



そう呟いた男は、階段を外す。



「………行くぞ!」



IFSコネクタに手を置く。

すると、IFSが、ユーチャリスにいた最期の…あの時と同じ様に光った。

エステバリスはあらかじめ開け放たれていた天井を超え、月光が照らす空へと飛翔する。













そして、「俺」は「私」として、新たな一歩を踏み出すこととなった。













《あとがき》


……って言うかね。何で僕がここにいるのかなぁ? …ねぇ、しょうへい総統?
あ、ちなみに。この一話だけど、僕は改訂しただけ。元ネタは他のメインの方のものですから。
なんだかなぁ。…僕は改訂屋じゃないんだが…。
ま、とりあえず。そういう事ですから。
…これくらいでいいよね?
……だって、僕設定知らないし。
そういう事で。さよーならー(逃げ)

BY SHOW



変わりまして八頭です。
私も訂正だけで、他には何もしてないのですが・・・・
参加させてもらっただけで、嬉しいです。
細かな仕事にも、全力を持って!!頑張りたいと思います。
PODを応援しましょう!!では・・・

BY 八頭



お二方に改訂を手伝っていただきました。
かなり地の文より変わってますって(笑
これからも頑張っていきましょー!(マテ

話は変わりますが、貴方。
そう、ディスプレイの前の貴方!
之を見て、何か思ったことがあるんじゃないですかぁ〜?(ニヤ)
私共は貴方の感想(あ〜んど妄想、要望)を切に願っております!

では、ACT−#02でお会いしましょう。

BY しょうへい



戻る


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送